2009年10月18日日曜日

エコに対するスタンス

ブログ2日目。「未来の住宅」の内容が、あまりにエコロジカルなのではないかと馬場さんと心配しあった。エコを標榜するのは、建築家のなかではかっこわるいことなのだ。建築家は空間をつくることが仕事だ。という自負がある。小泉雅生さんがまとめた「」という本がある。その本は一線で活躍する、とんがったデザイナーと言われている人たちが意外と環境とかに配慮している(ある意味あたりまえだが)という内容なのだが、登場する建築家がかならず(小泉さん以外)「実は、興味があるのは環境的なことではなくて、空間なのですが・・・」とインタビューの最初にいうのである。それほど、空間ではない、環境やエコの問題というのは避けて通られる。また、エコにはさまざま水準があって、なかば宗教のようなものから、販売促進のための合い言葉みたいなものまである。特にエコを前面にだす建築家は、他に能がない人のような印象すら受ける。単純にいうと胡散臭いのだ。そういった胡散臭い世界に飛び込むことになる。その意識はなくても、そう見られることになる。だから、エコの加減には特に注意を払った。スタンスを明確にする。

□無理をしない。我慢しない。
理由は簡単。長続きしないから

□誰もが最低限必要と思われるレベル。
特殊な人のためのものではなく、現在はこのくらい必要だろうというレベル。このことは結構流動的で時代が変われば、水準が変わるということである。
私は化学物質過敏症ではないし、健康なので、空間もそれが維持できればいいと考える。私自身が結構、大雑把な性格とからだなのである。

さて、この本はカーボンニュートラルをベースとしている。すなわち、温暖化防止のためにCO2をどれだけ出さないかということ目的としている。「温暖化を止めるには、CO2を削減しなければいけない。」という関係を疑うと、議論が成り立たない。最終的な事実は誰にもわからないが、これは世界の共通認識である。まったくそういう世界の情勢と関わらないで生きていく方法もあるかもしれないが、日本のエネルギー自給率はわずか4%である。そのエネルギーの大部分を輸入に頼っている私たちは、何としても脱石油を真剣に考えるべきだと思う。

2009年10月12日月曜日

未来の住宅




まず、最初にこの本。山形の大学に通っていなかったら実感がわかなかったであろうが、山形に来ていると人々の暮らしが自然のなかでなりたっているというのがよくわかる。その自然を生かしたものの作り方を考えることは、至極当然のことだ。それが、木材を活かした住宅のあり方だが、実は山形だけの問題ではない。日本全国の問題でもある。日本は国土のじつに67%が森林に覆われているがうまく活用していない。安い木材を大量に輸入したため、林業がうまく行かなくなり、今では木を切るのもたいへんな状況になってしまった。森はちゃんと手を入れてやらないといけない。でも、衰退してその手がないのである。
一方、私たちの暮らしはどんどん豊かになっていると言われるが、住宅に関してはその実感が乏しい。都市部を中心に考えれば、土地の高騰で住宅を手に入れにくいが、それはごく一部の問題である。地方では、どういう豊かさを目指すのか行き詰まっているようだ。そういうことをいろいろ思っていた頃、低炭素社会の到来に関して、同僚の三浦秀一さんに聞いたところ、正直驚いた。どうやら、日本の住宅事情は世界の中でも、相当遅れているようだ。というようなことを聞いて、焦って、三浦さんにいろいろ聞くということで、馬場正尊さん、山畑信博さん、渡辺桂さんと勉強会を立ち上げた。
 みんなでいろいろ話しながらやった方が、気楽だと思ったからだ。そして、それを本にして、「最先端の住宅をつくりましょう。」というきっかけにしようと勝手に盛り上がっていた。三浦さんに誘われて、中央ヨーロッパのオーストリアに「かっこいい木造住宅がありますよ。」と言われて、でかけて見てしまった。本当にかっこいい。「こういうのをつくりたいな」と思っていたらトントン拍子にいろいろなものがまわり始めた。タイミングとしてぎりぎりだとは思ったが、とにかくいろいろ始まったのである。