2010年5月25日火曜日

中心市街地の活性化

今までのような商店街に戻すのは所詮不可能である。ただ、商店街が存在意義を失ってしまうかというとそれもまたそうは思わない。ただ、いままでどおりの方法でやっていても対処療法的にならざるを得ない。
いくら中心市街地活性化の資金(略して中活)をいれても、そんなの意味ない。
世代交代しない商店街に先はない。もっと根本的に直していかなければならない。
ではどうするか。

□商店街を高齢者の町にする。
まずはクルマに乗って、郊外型ショッピングセンターに出かける人を呼び戻す必要はない。ショッピングセンターは便利にできている。それにはそれの理由がある。便利に作れば、人が来ることがわかっているからだ。そうできているが、耐久性はない。そこにコストを描けると回収しにくくなる。だから、ときどき新陳代謝して、古いところはつぶれて、新しいところにできる。だから相手にしてはいけない。
でも、クルマに乗ることが億劫になった高齢者にとって、その移動は死活問題になる。基本、歩いていける商店街は歩いて来られる人を対象にすべきである。商店街がいくら駐車場を作っても、ショッピングセンターには負ける。

さて、高齢者にとって歩いていけるところにある町は重要である。クルマにしか乗れなくなったら、デイサービスの送迎がついて、デイケアで車いすに乗ってしまう。そうなると退化していく。歩けるうちは自分で歩くことが重要である。中心市街地は実は、安全と安心がある町である。声がけ運動など復活させたらよい。それが商店街の魅力になる。
だから、住宅を誘致する必要がある。住宅をたてやすいように、融資をすればいい。あるいは、中心市街地に住宅を建てると固定資産税をさげればよい。それ以前に、中心市街地の土地の評価をちゃんとしなくてはいけない。おそらく高止まりをしている。あるいは、住宅を建てることに補助しなくてはいけない。

□病院や地域医療の出張機関とする。
住宅があって、商業があって、あとは病院や地域医療の出張期間が必要だ。とにかく、出かける場所が必要である、そういうコミュニティの場所を作る必要がある。もちろん、商店街も努力する。目指す雰囲気は巣鴨のような場所である。歩いて病院に通う。

□若者に起業ささせる。
さて、そこで必要なのは新しい活力である。これは若者に限る。いままでの既存の考え方ではサービスに新しさが生まれない。ぜひ、若い人に託すべきである。これにまちづくり的な要素を加えることも必要である。

□どんな町にするか。
実はもう一つの要素がほしい。その町が他の町とちがう何かがほしい。エコロジカルな新しさでもいいし、商業的ななにか、あるいは歴史的ななにか。なんでもいいが、隣町とはちがうこと。それが重要だ。町の人はあるのが当たり前になって、とても魅力的なことに気がつかないことがおおい。外部の目を入れて、なにが特徴か判断しよう。

っていうことを県の課長相手に午前中しました。そしたらそれは、すでに都市政策の問題で、首長さんがよほど積極的にやらないとできるはずがないと言われてしまいました。
なるほど、そうかもしれない。

そこで、そういうことを積極的にやる首長さん、大募集です。
ちなみに山形県や東北に限りません。

2010年5月16日日曜日

エコハウスのデザイン

まず、この山形エコハウスは、おそらく日本に現在あるエコハウスの中でも、かなりな高性能な建物である。それは熱貫流率といった数字で表される器としての性能である。この数字はクルマを語る時の燃費の話しと似ている。燃費がいくらかは経済性にとって大事だが、クルマを評価するときの一部のデータでしかない。燃費がよいクルマは、それはそれで魅力だが、クルマの魅力は燃費が勝負だ。というのは間違いである。クルマの魅力は他にあるように、住宅という建築に関してはこの性能はひとつの指標でしかない。
そうはいっても、この器の性能の高さはそれだけで大きな魅力である。なんといっても、省エネルギーが徹底されているので、設備の負担が小さく、冷房や暖房の設備が目立たない。暖房や給湯のペレットボイラは十分に小さいし、冷房はエアコン1台である。これで実際に足りているかは実証実験の大きなポイントだが、大きな問題はないだろう。
 さて、設計を進めていく上で熱のデザインに関して、十分に検討した。器の断熱性能のために、太陽熱を効率的に使う必要がある。夏の高度が高い太陽光線を遮り、冬の高度が低い太陽光線を取り入れる。断熱性があがると中間期の日射の進入が問題になるが、熱をこもらせなければよい。これらのことは、エコハウスと言わずとも、普段の設計でも当たり前に考えることである。
また、中間期から夏期にかけての室内の通風も考えなければいけない。これも、通常考えることである。エコハウスと言っても通常の設計と何ら変わらないのである。技術の問題は、程度の問題であって、数字の問題であるが、それは設定の問題である。どこに設定するかは社会の制度の問題にも密接に絡むが、設備のイニシャルコストが下がるというところまでで設定しないとあまり意味がないように思う。さて、ここまでは自然の力をうまく使いデザインに取り込むということは今までの住宅の設計となんら変わらない。
 ただ、ちがう点は大きく一つある。器の性能があがっているので、熱の出入りがない。したがって、空気の対流も起きず、空気の温度はどこをとっても一定なのである。だから、2階の気温が高く1階が低いということがない。だから、吹抜けがあっても全く問題ない。空気がひとつながりでワンルームにできる。どこまでも空間がつながるから、場所が連続的になる。空間的にはこれはいろいろとおもしろい。閉じることができることも必要だが、開けたらすべてがつながっていくという空気のデザインができる。そこでできたのが、今回のエコハウスである。未来の住宅に書いたように、空間がより連続するように半階あがったスペースを設け、その地下を設備置き場とした。ここは薪ではなく、ペレットなど設備的なものもおかれている。

さて、外観は木を素地で使った。塗装しないと色が変わるのは織り込み済みである。変色したシルバーグレイの佇まいを目指している。古来より家は木でつくられ、そのように変色していた。現代の生活を成り立たせる室内環境でこれが同じことができるかどうか。これもひとつの実験である。形に関しては、太陽光パネル、太陽熱温水器などの効率から南側の長い切り妻を選択した。山形でもよく見かける形である。今回の普及啓発のための第1弾として、当たり前の形を選択した。ただ、これは敷地の形状、方位などさまざまな条件で色々なバリエーションがあると考える。